伝統的な絵柄は、そのままだと難しく感じるお客さんもおられるでしょう。一峰窯では、高い技術と品の良さを維持しつつもカジュアルでシンプルな表現をしたいと思っています。
うちの器は、見た目よりも軽いし薄いです。これは、窯の温度とか時間にこだわっているからです。丈夫だから軽く、薄くできるんです。大きな器も、見た目より軽い、薄い。普段づかいする器なので、使い易くしています。反対に、飲食店で使う業務用の器はもっと厚くもっと丈夫に作らないといけませんが。
目指しているのは、これから焼き物をそろえたい、好みの器を見つけたいと思う人が最初に手にとってくれる器。奥深い焼物の世界の入口に、一峰窯の普段づかいでも丁寧に作られた器があればと思うんです。
名称 | 一峰窯 |
窯主 | 江上 拓也 |
住所 | 〒849-2305 佐賀県武雄市山内町宮野27311-29 |
電話番号 | 0954-45-4056 |
営業時間 | 8:30〜17:00 |
定休日 | 土・日 |
SHOP | https://ippogama.thebase.in |
絵付けの方法は3種類。ひとつは、呉須と呼ばれる紺色の絵具で、素焼の器に絵を描いた後に釉薬をかけて焼成する「染付(そめつけ)」。
それと、先に釉薬をかけて焼成した艶のある白磁の器に色鮮やかな上絵具で絵を描く「錦(にしき)」。もうひとつは、「染付」と「錦」を組みわせた「染錦(そめにしき)」。「染付」で焼成した後に「錦」を施しさらに焼成します。
それぞれの技法によって手間や制作期間も異なりますが、用途は同じ普段使いなので、どの技法を使っても同じ価格をつけるように心がけています。特に「染錦」は工程が多く時間もかかりますが、作業効率やコストより、その絵柄にとっての一番いい色と技法を優先しています。
輸入品や他産地のカジュアルな器にはない品が生まれるのは、有田焼で使われている伝統的な錦絵具を使っているからです。錦の色を綺麗に出すには水分をしっかり飛ばさないといけないので、焼成方法も違ってくるわけです。こういう違いをわかって見ていただけたら、他産地の焼き物との違いをもっと楽しんでご覧いただけると思います。
工房にギャラリーも併設しています。日常的に使ってもらえる器を目指しているので、気軽に遊びに来てもらいたいです。覚悟を決めて買いにくるのではなく、ふらっと立ち寄っていただけるような食器を目指してきましたので、お喋りさせてもらえたら嬉しいです。
もうひとつ、今の一峰窯の路線とは違う、器使い上級者向けの、ちょっとしたこだわりの料理屋さんで出てくるような器もこれから開発したいと思っています。実際に「こういう器がほしいのよ」と遠慮なくご意見いただいて、一緒に次の一皿を作りだせたらと思っています。