宝寿窯の焼き物は、他にはないオリジナィティを目指しています。みんながやってないこと。お客様から「こんな焼物があるんですか」「こんなの見たことないです」という焼き物。
最近こだわっているのは、自然界に存在する模様。人間が考えてデザインするような、作為的なものじゃなくてね。自然のデザインを、いかに器に表現するかというのを意識して作ってます。
「cerawood」シリーズは、木目を粘土に写しとっています。「パピルス」シリーズなら、紙をくしゃくしゃに丸めて伸ばした時にできるシワを石膏に写しとったり。干からびた田んぼの表面がバリバリバリっと裂ける、その現象を器に表現したのが「裂器」シリーズ。
最近は自然の造形と植物が合うのではないかということで、東京の会社(※)から頼まれて植木鉢を作るようになりました。多肉植物や塊根植物などビザールプランツがブームが来てるでしょう。数万円する塊根植物もあって、現代の盆栽ですよね。
食卓の上に多種多様な器が並ぶのは日本だけです。小鉢があったり磁器があったり陶器があったり。季節によって模様や形を使い分けたりしますよね。日本人だから、こういう多肉の盆栽みたいな、新しい文化を生み出せるんじゃないかと思います。
※Konect:https://konect.tokyo
名称 | 宝寿窯 |
窯主 | 山本 博文 |
住所 | 〒849-2305 武雄市山内町宮野1947 |
電話番号 | 0954-45-3290 |
FAX番号 | 0954-45-4840 |
営業時間 | 8:00〜17:30 |
定休日 | 不定休 |
URL | https://houjugama.jp/ |
SHOP | https://bunga.buyshop.jp/ |
宝寿窯は、親父の代は美術品しかありませんでした。磁器の飾り物、額などを作っていました。自分は器をやりたいと思ったのが、24の時です。宝寿窯の中で器部門を立ち上げました。でも、焼き物が盛んな地域だから後発で器を始めるには他にないものを作らなければいけないので、人がやってないことをやろうと思って今に至ってます。
最初は磁器に絵付をしていて、ブレイクしたきっかけがエスニック柄。エジプトの文様、壁画とか。当時はまだそういうのがありませんでしたが、絵付はコピーが簡単なので、すぐに他の地域で真似されて、安いものが出回ってしまいました。そこで絵柄ではなくフォルムや素材にこだわりたいと思い、最初は石ころに着想を得て、「ロック」シリーズが出来、今でも作り続けています。ろくろで作るのではなく、土の塊を1つ1つ、くり抜いて薄く削る作り方です。ろくろなら1日に50個や100個作れるかもしれないけど、この方法だと1日10個ほどが限度なんです。苦労する分、愛情が入るし、焼き物と対話する時間が多くなるわけです。無駄なことだけどね。でも、無駄に見えるところにいかに心を注ぐかというのが自分にとっての美学なんですね。
いくら売れるからっと言っても、惰性で同じものを作り続けたらお客様にも失礼だから。お金を払って、買ってくださる。それに見合ったものを作らなければいけないから、自分が本気で好きなものを一点一点作り続けるのが理想です。
似たものがないのが、武雄のいいところではないでしょうか。唐津のようで、有田のようで、伊万里のようで、そのどれでもない。武雄の窯元はバラバラで多種多様ですから。武雄の焼き物を知ろうと思ったら、全部回らないといけない。だから楽しいんじゃないかな。小さな窯元は、大量生産のものとは、勝負できないし、する必要もない。10人に1人でいいから、武雄の焼き物が好きだと言ってくれる人と繋がっていきたいな。
将来の目標としては、あと10年くらいで半引退して、若手を育てたいなと思っています。美術品を扱っていたから大きな窯があるし、都会と違ってスペースもありますから、宝寿窯をシェア工房にしたいと思っています。場所も仕事もシェアできるオープンなものづくりの拠点です。景色もいいですし、 そういう働き方に興味のある人も、遊びにきてほしいです。